【WEB集客に使える心理学】クリックしたくなるボタンとは?

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今回のKISSmetricsマーケティング特集記事の原題は “Everything You Need to Know About the Psychology of the Call to Action” です。

Call to Action (略してCTA) は直訳すると「行動喚起」という意味ですが、マーケティングの世界では、ウェブサイトや広告の最後にある「訪問者に押して欲しいボタン」や「そのボタンを含むページ全体」のことを指します。

クリック数やコンバージョンをあげるにはどうすればいいか、皆さん日々考えていらっしゃいますよね。実はこのCTAは「心理学」と深い関係があるのです。たった一つのボタンが、サイト訪問者の心理とコンバージョンにどれだけ影響しているかを解説しています。


(以下、翻訳文)

おそらくほとんどのWEBマーケティング担当者が、CTAという言葉自体は知っているだろう。しかし、そのうちどれだけの人がCTAを本当の意味で理解しているだろうか。

残念なことに、その数は決して多くない。

ここでは、ウェブサイト上のボタンの色や幅、枠線の太さ、テキスト、CSSの効果といった表面的な部分だけでなく、CTAの根底にあるサイト訪問者の深層心理を解き明かしていく。

コンバージョン最適化 (注:より多くのサイト訪問者を顧客に変えるために、ウェブサイトやランディングページを調節する取り組み) には、顧客の心理状態を理解することが非常に重要である。

では、早速その心理学を見ていこう。

1. 訪問客はボタンを押すべきだと知っている

ランディングページやウェブサイトには一連の流れがあり、CTAはその一部である。
これは人間の認識プロセスに沿っており、心理学で言うパーセプチュアルセット理論 (perceptual set theory) に基づいている。

このパーセプチュアルセット理論とは私たちがどのように物や人、経験を認識するかを分析したものである。それによれば、人間は選択推測解釈の3つのプロセスを組み合わせて物事を認識している。このプロセスを通して、予測をたて、行動を起こすのである。

では、具体的にどんなプロセスなのだろうか。

1. 選択:
人間は五感から得た情報すべて (注:心理学用語で感覚入力と呼ぶ) に注意を払っているわけではなく、数ある情報の中から取捨選択している。例えば、私たちがランディングページを見ている時、今自分のいる部屋の湿度を意識することはあまりないだろう。感覚的に湿度を把握していても、私たちの意識は他のものに集中している。この例の場合、視覚的な刺激に集中している。

2. 推測:
私たちの脳には過去の経験が蓄積されており、新しい経験をする時、無意識に過去の経験と照らし合わせ、今までに似た経験をしていないか考えている。つまり、初めてみるランディングページでも、それを読んでいる間は、過去に見た他のランディングページを思い出しながら、その時どう行動したかを無意識に考えているのである。

3. 解釈:
私たちの脳は五感から得た情報と過去の経験をつなぎ合わせることで、認識を生み出している。この「解釈」というプロセスは今体験していることを過去に形成されたスキーマ (注:【心理学用語】ある対象や出来事に関して、まとまって記憶されている情報や知識をもとに作られた図式) に当てはめることである。また、既存のスキーマに当てはまらないものに関しては、新たな分類を作り出すことが必要となる。

今度はこれをビジュアル化してみよう。
以下にあげるのは、1955年にBrunerとMinturnによって生み出されたパーセプチュアルセット理論の代表的な例である。

下の絵の真ん中にある記号は何に見えるだろう?

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数字の13に見えるという人は多いかもしれない。

その答えはもちろん正解。

しかし、しばらく見ているうちに今度はアルファベットの”B”に見えるのではないだろうか。

今、あなたはこの記号が”B”にも見えている、もしくは”B”でもあると解釈している。

認識は、どのデータ ( 12と14ならば数字、AとCならば アルファベット) を選択し、解釈するかによって異なる。比較対象によって、複数の解釈ができるというパーセプチュアルセット理論の原理をうまく利用した絵は他にもある。

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これはアヒルだろうか。うさぎだろうか。

芝生の上にうさぎが座っているようにも見えるし、アヒルが寝転がっているようにも見える。
もし、私がクワックワッ、ガーガー 、よたよた歩くという単語をだせば、アヒルだと認識しやすいだろう。逆に耳、ぴょんぴょん、月と餅つきという単語を使えば、ウサギと認識しやすくなるのではないだろうか。

日常生活の中で、私たちは常に情報を選択し、過去の経験と照らし合わせることで物事を認識している。逆に言えば、一緒に提示された情報が私たちの認識を左右するのである。

ランディングページの話に戻そう。

ランディングページを見ている時、サイト訪問者は、あらかじめ登録や購入を促すボタンがあるとわかっている。過去の経験から、ページの意図を無意識に汲み取っているのである。

これは必ずしも彼らがコンバージョンするという意味ではない。
単に登録や購入のボタンの存在に対して、脳が準備しているにすぎない。頭の中でこの辺に登録ボタンがあるだろうと判断しているだけなのだ。

このような予測を持つことは行動自体にも影響する。

例えば、下の図のように、Facebookの登録画面で緑色のボタンを眺め、「このボックスの文字はどういう意味だろう」と考えることはまずないということだ。

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つまり閲覧者は、文字を読まなくても、それがボタンで、クリックするよう促されていることを直感的にわかっているのである。

サイト訪問者の予測を最大限活用するには

一目でわかるようにCTAを明確にしよう

まず、サイト訪問者の認識とあなたのビジョンをマッチさせる必要がある。
ボタンなのであれば、ボタンらしく見せること。何をして欲しいかも明確化する。

論理的な展開に沿ってランディングページをデザインしよう

直感的で、論理的に意味が繋がるランディングページをデザインすれば、クリック数が増える。ランディングページを通して読み手の予測や想定に働きかけ、より流動的にCTAをお膳立てすることによって、こちらが意図した行動をさせるように誘導するのである。


2. 「もっと知りたい」という好奇心を刺激する

人間の心理として、クリックした後に何が起こるのか気になるのが普通である。

好奇心がとても強い感情であるということは皆さんご存知だろう。イギリスには「好奇心は猫を殺す」ということわざがある。猫でさえ(猫は9つの命を持っていると言われるほど、簡単には死なないとされている)好奇心のために命を落とすという意味だ。

しかし、実はそのことわざはこう続く。「だが好奇心が満たされた猫は、死ぬことはない」。

好奇心に強い力があるのは、その先に「満足感」が約束されているからであり、それが満たされないとどんな危険をも犯してしまう、ということなのだ。

心理学者らは「好奇心」を解明するために、数々の理論を打ち立ててきた。ある論文には「他の本能的欲求と同様、好奇心は一定の刺激を繰り返し与えることで満足感したかのように感じさせることができる」と書かれている。

好奇心と密接に関係しているのは、満足感だけではない。覚醒 (注:【心理学用語】心臓の鼓動、血圧、呼吸が高まり、アドレナリンが多く放出される状態のこと) もその一つである。覚醒は、知りたいという欲求 (好奇心) があと少しで満されるような状況下で、きちんと見えなかったり、よく聞こえなかったり、対象物を解釈できないと感じた時に起きる。

覚醒状態になると、人間はその原因を突き止めようとする行動にでる。例えば、子供がフェンスの向こう側にあるものを見たくてしょうがない時に、ほんの少しだけ背が足りないとしたら。おそらく子供は泣きわめいたり、ジャンプしたり、よじ登ろうとまでする。好奇心が肉体にその本能的欲求を満たすように要求するのである。

カーネギーメロン大学の教授であるLoewensteinは“The Psychology of Curiosity: A Review and Reinterpretation”の中である実験を以下のように引用している。

”Smith, Malmo, Shagass  (1954) らは被験者に一部わざと聞こえにくくした音声を聞かせた。その結果、録音が聞こえにくくなるたびに、被験者の腕の筋肉に緊張がみられた。また、難解な哲学小説を読み上げる不明瞭な音声を被験者に聞かせたWalerstein (1954) も似たような結果を得た。急激な筋肉の収縮が最初の数分間続き、その後落ち着いたのだ。”

こうも続ける。

”好奇心がもたらす本能的欲求について研究していく中で、満たされない好奇心はある種の嫌悪感をもたらすのではないかと推測している。その嫌悪感をなくすために、情報を得ようとすることは、好奇心が引き起こす最も基本的な行動だと言える。”

このように覚醒状態のバランスを保とうとする行動こそが、「好奇心を満たす」のである。
クリックした後に何が起こるのかを知りたいと思うのも同じことだ。

まず前提として、クリックをすれば物がもらえる、または知識が得られるなどの結果を、クリックするよりも前に知っていることが必要だ。しかし、具体的に何をもらえるのか、どんな知識を得られるのかまでは知らない。漠然としたイメージだけがあり、自分の知らない隠された部分があるからこそ、人はクリックしてみたいと思うのである。

下の図は好奇心を刺激するCTAの良い例である。

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「究極の…ガイドブック」「秘密」「コツ」「秘訣」などの言葉が使われている。
マーケティング担当者にとって魅力的な言葉である。この「秘密」を知りたいという欲求が、クリックの動機となることが理想だ。

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ConversionXLが提供する広告 (上記画像) も好奇心を刺激するキーワードをちりばめた良い例だ。マーケティング担当が「やりがちな失敗」を紹介する「会員様限定」の「ガイド」を提供すると謳っている。好奇心はCTAとコンバージョンを促す。

好奇心を刺激するには

限られた情報だけを公開しよう

アクションを起こした後、何が起こるかを全部ではなく部分的に説明する。イメージを湧かせるのに必要な大まかな情報だけを表示し、詳細は明らかにしない。

何かを約束しよう

秘密や発見などを約束するような文章をCTAに使い、ユーザーが今まで知ることができなかった知識を提供する。

 


3. 期待感を高める

心理学的に、人間は常に起こりうる事を想定している。想定せずにはいられない生き物なのだ。

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当然のように、私たちは日常生活の中で想定を繰り返している

  • 朝、目覚ましのアラームが鳴る
  • 食パンが焼けて、トースターから飛び出す
  • 今日もいつも通りスタバには長い列ができている
  • 職場にいつもの時間に到着するはず
  • パソコンの電源をいれたら、メールがたくさん溜まっている
  • おしゃべりな同僚がまた「ちょっとだけ」と言いながら、45分もべらべら話してイライラする

このように、私たちは自らが起こるだろうと想定した範囲内で生きている。
この想定という作業は脳の奥深く、最も原始的な部分「小脳」で行われている。何かを想定することはまさに本能的な行動に近い。

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ここで興味深い「想定」についての事実を紹介しよう。

  • 人間は、実際よりも多くの価値や報酬を期待しがちである。そのため、「想定」が現実を上回ってしまうことが多い。
  • 何かいいことが起こると思っている時の脳は、それが実際に起こる時と同じくらいの喜びを感じている。
  • 人間には自然とポジティブなことを「想定」 (=「期待」) する傾向があるため、結果としてネガティブな経験よりポジティブな経験の方が無意識に記憶に蓄積されていく。

「期待感」を高めるためには

ストーリーで伝えよう

Tommy Walkerが自らCrazyEggに投稿した記事が話題になっている。

”僕がFacebookに登録したのは、「登録ボタン」ではなく、僕自身がFacebookを通じて何をできるかという「ストーリー」のためだった。”

ストーリー。私たちは物語に目がない。

心理学的に言えば、CTAはそのストーリーのクライマックスである。ランディングページが解決すべき問題を一つの物語として展開していく中で、私たちの頭は無意識にクライマックスへの期待感を高めている。CTAはそのクライマックスだ。

物語の構造を示す有名なフライタークのピラミッドというものがある。

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ランディングページは見出しの解説から始まる。その後、説得力のある文で読み手に問題の解決方法を提示していき、最後のクライマックスで、燃え上がるような情熱と共に素晴らしさを語りつつ、そっとCTAを設置しておく。物語の一番大事な場所がCTAとなる。

コンバージョン後がどんなに魅力的か、心地よく響くように説明しよう。

読者の想像力を刺激すればするほど、ランディングページにいる間に物語への感情移入もしやすくなる。コンバージョンすることの素晴らしさを語ろう。

文章と内容を通して、読者が「共感」できる機会を用意しよう。

共感は期待感を高める良い方法である。人間はポジティブな事を期待するものなので、読者をポジティブな思考に導くことはCTAにおいて重要である。読者に共感される画像や文章をちりばめよう。


4. ごほうびへの欲求を刺激する

CTAは、見返りを求める行動でもある。私たちが行動を起こすのは見返りとして得られるものがあるからだ。自分の行動に対する見返りを受け取った時、私たちは学習し、それを得ることに繋がった行動を繰り返しとろうとする傾向がある。

この学習サイクルは何度も経験するうちに、習慣になっていく。

「パブロフの犬」について聞いたことがあるだろうか。もしかすると、昔理科の授業で習った内容を、記憶の隅から引っ張り出してきた人もいるかもしれない。ここで一度、ロシアで行われたこの実験をおさらいしておこう。

Ivan Pavlov (1849-1936) という犬の愛好家でもあるロシア人の科学者がいた。彼は、犬に食べ物を与える際に、どれほど唾液が分泌するか測定する実験を行った。そこで彼は、ある出来事を目の前の食べ物に関連づけると、その出来事が起これば、たとえ目の前に食べ物がなくても犬が唾液を分泌することを発見した。唾液の分泌は自然な反射、つまり無条件で起きる食べ物に対する反応である。

Pavlovは食べ物を与える際にベルを鳴らすようにした。しばらくすると、犬はベルの音を聞くだけで、唾液を分泌するようになった。ベルの音と食べ物を関連づけたのである。

これと全く同じように、ランディングページを見る時、私たちはある反応をするように条件づけられている。古典的条件付けを通して、私たちは特定の出来事に対して特定の反応を返すよう無意識に学習している。

これは前例を通して結果を学ぶプロセスにも適応される。パブロフに代表される古典的条件付けとは少し異なるが、ランディングページにはオペラント条件付けがあてはまる。この心理学的理論は自分の選択した行動に対する強化 (リインフォースメント) と罰 (パニッシュメント) を通して、学習をすることである。

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CTAにも同じことが言える。私たちがCTAをクリックして何かを得ようとする時、まさにオペラント条件づけに対するのと同じ反応をしているのだ。以前に何かをクリックしたり、登録した時の過去の経験から、無意識にそうすると良いことがあると考えてクリックしているのである。この無意識に行動することは、普段からやっている流れ作業のようなもので、私たちはそうせずにはいられないのだ。その結果がクリックやコンバージョンとなる。

クリックしやすくするには

見返りを連想させる言葉を使う

何かを提供することを約束すれば、サイト訪問客の見返りを求める気持ちを強め、コンバージョン率を高める。


結論

私たちの行動の裏には、何かしらの心理が働いている。
CTAも例外ではない。ランディングページなどのウェブサイトを制作する時、あなたは誰かの深層心理に触れようとしているのである。サイト訪問客の心理を理解することは、ターゲットをより深く知り、コンバージョン率を高めるために大変重要なのである。


原文:Everything You Need to Know About the Psychology of the Call to Action

筆者:Jeremy Smith,コンバージョン専門のコンサルタント兼トレーナー。Dow Chemical、American Express、Panera Bread、Wendy’s などの企業のコンバージョン最適化を手がけ、戦略的マーケテイングの試し方、数字を分析することの重要さを説き、各企業の文化として定着させる。CMOとしての経験とIT企業のCEOという経歴から、人の行動と利益を生み出すための仕組みを習得した。Twitterアカウント

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