世界トップのSaaS企業に学ぶ!グロースハック9つの方法

グロースハックとは実に興味深いものである。

私は今までに何度か起業してきたが、グロースハックを試すためだけに新たな事業を立ち上げようとさえ思っている。

グロースハックとは:
IT系スタートアップが、ソーシャルメディアの分析技術とクリエイティブな手法を用いて、サービスを爆発的に成長させるマーケティングの方法のこと [詳細]

 
従来のマーケティング戦略は、莫大な運用資金が無い限りうまくいかない。だからこそ、グロースハックはSaaS企業にとって必要不可欠なものとして広がったのである。彼らの生み出したグロースハックの多くは、彼らの事業発展の要となっている。

これから私がおすすめする9つのグロースハックは、世界トップレベルのSaaS企業が実践し、成功を収め、その効力を証明した手法である。

あなたの事業を新たなレベルへ押し上げる、助けとなれば嬉しい。


1. とにかくメールアドレスを集めよう

AppSumo(Noah Kagan)を見習え!

ソフトウェアの販売サイトであるAppSumo創設者のNoah Kagan氏はなんと70万に及ぶメールアドレスを集めた。この数にピンとこないかもしれないが、とにかく膨大な数であることは分かるだろう。

メールアドレスとは、お金である。
それだけで、途方もなく大きな価値をもっている。

Kagan氏はこのメルマガ購読者を増やす、という戦略で事業を大成功に導いている。
では一体、彼はどのようにしてここまで膨大なメールアドレスを手に入れたのだろうか?

とにかく、彼は「メールアドレスを手に入れる」という目的に取り憑かれていた。彼もブログで以下のように書いている。

自分のウェブサイトを立ち上げる時、私の頭には「メールのサインアップ数」しかなかった。事業設立一日目から、私はその一点に集中していた。うっとうしがられず、スムーズに、どうやってその数を増やすか。今でも常に新しい戦略を模索している。

彼の戦略はとてもシンプルである。ここで、彼のテクニックの一部を覗いてみよう。

  1. Give something away.   (登録者にはなにかしらの特典を)
  2. Use the by-line(自分がどこの誰か名乗ろう)
  3. Sticky widget(ページのどこかしこにもウィジェットを)
  4. Popup(ポップアップを効果的に使おう)
  5. Header opt-in(オプトインヘッダーで登録させよう)
  6. Exit popup(キャンセル時の確認ポップアップを出そう)
  7. Bonuses on posts(「ページ来訪者限定」特典をつけよう)
  8. Welcome gate(自社ホームページへ導こう)
  9. Landing page(ランディングページを作ろう)
  10. Contest(オンラインコンテストを開催し、参加者のアドレスをゲットしよう)

Kagan氏はこれらを全て行い、大成功した。メールリストが膨らむのと比例して、ページ訪問者数と売り上げが伸びていったのだ。

appsumo-traffic

アクセス数の少なかった当初に比べて、2014年2月には大幅にアクセス数がアップしている


2.「友達紹介」で広めよう

Dropboxを見習え!

Dropboxを使ったことのある方は、おそらくDropboxを友達に紹介したことがあるだろう。紹介すれば追加容量をもらえる、という仕組みは、なかなか見逃せない特典だからだ。

この点でDropboxは、顧客に商品を売ってもらう、という典型的なマーケティング戦略をとったといえる。追加容量という特典に加え、「友達に紹介」メッセージをアプリケーション上にちりばめることで、事業は大成功を収めた。これらの戦略があったからこそ、「クラウドストレージサービスといえば、Dropbox」という方程式を定着させることができたのである。

Dropboxのグロースハックはこれだけに留まらない。気になる方には、彼らの成長を詳細に分析したこちらの記事(The 7 Ways Dropbox Hacked Growth to Become a $4 Billion Company)もぜひ読んでいただきたい。


3. 競合の力を利用しよう

Airbnbを見習え!

Airbnbの一番の障壁は、Craiglistという圧倒的な競合だった。当時Craiglistは、休暇先の宿泊所や部屋の賃貸といったサービスを提供する業界大手であり、彼らほど強力なライバルから市場のシェアを勝ち取れる可能性は無に等しかった。

…ここである諺を思い出してほしい。「長いものには巻かれろ」

Airbnbはこの言葉通り、便乗作戦を彼らのグロースハックとした。市場における、Craigslistの広いリーチを利用して、自分たちのリーチを広げようとしたのだ。

彼らは極上のコーディングスキルを武器にCraiglistと連携し、Airbnb上の物件投稿を、Craiglistに同時投稿できるようにしたのだ。

面と向かって戦うのではなく、競合のプラットホームを乗っ取る作戦が、Airbnbを大成功に導いた。


4. ターゲットを絞ろう

LinkedInを見習え!

スタートアップするにあたって、あなたはきっと的確にターゲットを定めたいと考えているだろう。であれば、できるだけ狭めるべきである。

的を絞ることは意外と効果的なのだ。限られた集団の一員になりたいと、人は常に思っている。派閥であれ、カントリークラブであれ、億万長者であれ。そこにいる人やその集団自体を好きでなかったとしても、人は「コネ」という魅惑的な響きに弱い。

LinkedInはこのことをよく分かっていた。そして「プロフェッショナル」限定というコミュニティを作り上げたのだ。「世界一のプロフェッショナル達のネットワーク」という売り文句はまたたくまに広まった。

プロフェッショナルと呼ばれる人々は、地球上に少なくとも3億人はいる。彼らは「限定」という言葉につられて、ぞろぞろとLinkedInの門をくぐっていった。TwitterやFacebookが爆発的な成長を誇っていた時世でここまで成功したLInkedInは、実に巧みなグロースハックを持っていたといえる。

ちなみに、LinkedIn創設者Reid Hoffmanのグロースハックはこれだけに留まらない。参考にしたい方はこちらの記事(LinkedIn Founder Reid Hoffman’s Advice for Entrepreneurs)もぜひ。


5. 現金をあげてしまおう

Paypalを見習え!

財務系のSaaSを提供している方に聞いてみたい。ユーザーに現金をプレゼントなんてできるだろうか?

PayPalはやってしまった。「友達紹介で10ドルプレゼント」に食いつかない人はいないだろう。PayPalは初期にこれをやってのけ、伸び続けるユーザー数という「事業成功」を手に入れた。こうしてPayPalはウェブ取引において欠かせないサービスとなった。

ING Bank(厳密にはSaaSではないが…)もまた同じ戦略をとった。後にCapital Oneに買収されたものの、友達紹介があれば、現金を口座に振り込むという作戦で大きな成長を遂げたのに変わりはない。

これを聞いて、自分には十分な資本がないと思った方も信じてほしい。ユーザーに与えた分だけ、いやそれ以上に、あなたの事業は大きな成果を得ることになるだろう。

ただこれらの紹介キャンペーンを始める前に、ぜひ知っておいてほしいことがある。顧客となるユーザーのライフタイムバリューについてである。

どれだけの利益を一人のユーザーが生み出すのか、数値を把握しておくことはマーケティング戦略上とても重要である。ライフタイムバリューの計算方法をここに記しておく。

ltv-sm

ライフタイムバリュー(サービスに対し、顧客一人が生涯のうちにもたらす利益)をみると、いかに ロイヤルカスタマーを獲得することが重要であるかが分かる。


6. ユーザーを待たせよう

Mailboxを見習え!

Mailboxのアプリは、メール管理に画期的な変化をもたらした。そして彼らの爆発的な成長にはしっかりした裏付けがある。

Mailboxはアプリの稼働まで、ユーザーを順番待ちリストに登録させたのである。正式利用には、まずはこのリストにサインアップしなければならなかった。

不思議なことに、「順番待ち」という状況に、多くの人は期待でそわそわするものである。Mailboxは彼らの戦略として、それを最大限に利用した。そうして迎えたフルリリースは大成功に終わった。

今では、Mailboxにサインアップするのに順番待ちをする必要はない。デバイスにMailboxをダウンロードすれば済んでしまう。ただこの「順番待ちリスト」戦略なくして、Mailboxの成功はなかっただろう。


7. コンテンツマーケティングで突き抜けよう

Buffer Appを見習え!

はじめこそ、Buffer Appも何百と存在したソーシャルメディア管理ツールの一つでしかなかった。

ソーシャルメディアの存在感が高まる中、関連ツールを作りたいと思ってる人はゴマンといる。流行に乗っかって、私も作ってみようかと思っているくらいだ。

Buffer Appも同じようにツールを作った。ただそこで終わらなかったのがBuffer Appなのである。彼らは一緒にコンテンツも作った。それも、たくさん。

もちろん内容の無いつまらないコンテンツではない。極上のコンテンツを作り続けたのである。長文のブログ、図や表、統計や研究を基にした「濃い」内容のものばかりである。そしてBuffer Appはソーシャルメディア上での強みを生かし、コンテンツの拡散を的確に行った。

近い将来、Buffer Appはソフトウェアツール以上に、コンテンツマーケターとしての色を濃くしていくことだろう。

コンテンツマーケティングは決して今日明日で行えることではない。ブログの数を増やし、分野を広げ、SEO戦略を的確に組み立てる必要がある。Buffer Appはそれをやってのけたのだ。そして言うまでもなく、大成功を収めたのである。


8. 無料プランを提供しよう

Evernoteを見習え!

古典的なグロースハックの一つとして、無料プランの提供というものがある。無料で提供していれば、とりあえず多くのユーザー数と口コミを得ることができる。更に、有料プランに加入する可能性のあるユーザーを獲得することができる。

Evernoteの成功までの道のりは決して穏やかなものではなかった。一時は大きく落ち込み、投資失敗の際には一時的な業務停止にまで追い込まれた。

それでもEvernoteは値段を変えず、システムを変えず、代わりにより協力な無料プランを提供し続けることで、彼らのアイディアを地道に広めていった。こうしてEvernoteは成功の道をたどった。私の周りにも、Evernoteをビジネスの中枢として考えている企業は多い。


9. 最高のカスタマーサポートを提供しよう

Help Scoutを見習え!

メール管理ソフトを提供するHelp Scoutのいいところは、なんといっても顧客を第一に置いているところだ。それが彼らの最優先事項なのだ。

もちろん彼らのマーケティング戦略においても、顧客第一という根底は変わらない。

彼らの実績をみれば、それがいかに大事なことなのかが見えてくる。彼らの記事は、そのポリシーの素晴らしさを実に簡潔に表している。グロースハックを考える上で、私達は事業の「成長」以外の視点でも考えるべきことがある。TechCrunchの記事では、「グロースハッキングは目を引くサービス提供ではなく、お客様のためのサービス提供を考慮すべきである」と述べている。

とても考えさせられる言葉である。グロースハックは面白く、魅力的である。しかし戦略に力を注ぐあまり、ユーザーのことを忘れてしまっては意味がない。むしろ、顧客第一というポリシーこそ、最高の形のグロースハックかもしれない。


終わりに

グロースハックは、ここで紹介した以外にもたくさん存在する。例えば、LinkedInの創始者であるLars Lofgrenの「とにかく、サービス料金を倍に」などである。あなたにも、あなたのシンプルかつパワフルなハックがあることだろう。

グロースハックとは他の企業のルールに従ったり、真似したりすることではない。もちろん、それらを試してみても構わない。だが、忘れてはいけないことがある。

グロースハックとは、導入して、やり直して、もがいて、そしてまた試してみる、ということの繰り返しなのである。

あなたにも、あなたのお気に入りのグロースハックを探してみてほしい。

原文:How 9 SaaS Companies Hacked Their Growth
筆者:Neil Patel、顧客の獲得維持Web分析ツール「KISSmetrics」のチーフ・エバンジェリスト。Quick Sproutにてブログも執筆中。

kissmetrics_partnership_blog_header

MakeLeaps

MakeLeapsは見積書・納品書・請求書の発行管理クラウドソリューション。このブログでは、国内のフリーランスや中小企業の読者の悩み解決・成長に役立つ情報やMakeLeapsのニュースなどをお届けします!

MakeLeapsの他の記事