なぜポテトサラダはクラウドファンディングで500万円以上を調達できたのか

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クラウドファンディングとは

クラウドファンディングの概要について、Wikipedia から引用します。

クラウドファンディング(英語:crowd funding)とは、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語である。ソーシャルファンディングとも呼ばれる。

要するに、たくさんの人から寄付や出資を集めることを言います。

通常、たくさんの人からお金を集めるというのは難しい行為です。たとえ少額であったとしても、告知や集金の処理にも費用がかかってしまいます。しかし、インターネットを使って呼びかけることにより、告知や集金を効率的に実現する仕組みが登場しました。

Kickstarter とは

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クラウドファンディングを行う Web サイトはいくつも存在します。その中で最も有名で、最も規模の大きい Web サイトが Kickstarter です。

Kickstarter は、自己資金での商品・サービス開発が難しい様々な分野のスタートを支援しています。代表的な分野は、次の通りです。

  • 映画
  • 音楽
  • ゲーム
  • マンガ
  • ガジェット(通信機器など)
  • 食品

商品開発を行う場合には、その商品が本当に市場で求められているのかを把握する必要があります。誰も欲しがらない商品を作ってしまったら、売れないからです。クラウドファンディングの良いところは、商品を開発する前に支援者=購入希望者を募ることができる点です。

事前に開発する商品の特徴や背景、予算規模などを説明し、支援者からのフィードバックを得ることができます。誰も支援してくれない商品であれば、完成しても売れない商品である可能性が高くなります。

芸術作品においては、事前の評価が難しいという側面があります。それでも、製作者の作品に対する思いや情熱が、注目を集めることも多々あります。

多くの場合、支援者は完成した商品・サービスを受け取ることができます。少額の支援の場合には、記念品や製作者からのメッセージなどを受け取る場合もあります。

特徴的な支援者への見返りを提供することができれば、より多くの支援者から注目を集めることができます。Kickstarter は、ソーシャルメディアとの連携を通じて、より多くの支援者が集まるエコシステムを提供しています。

ポテトサラダ?

Kickstarter には様々な商品・サービスのアイデアが投稿されています。新たな企画を立ち上げる人は、当然のように差別化を意識して斬新な企画を提案しています。

そんな中に、一風変わった企画が投稿されました。その企画の名前は、「ポテトサラダ」でした。

1人の男性が、「ポテトサラダを作るので資金を提供してください」と呼びかけたのです。

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  • このポテトサラダを作るという企画は、大成功しました。目標とした調達金額はわずか10ドルでしたが、集まった金額は5万5492ドルに上りました。日本円で、500万円以上です。

なぜそんなことが起こったのでしょうか?

特徴

奇抜なアイデアが集まる Kickstarter においても、ポテトサラダは特別でした。単純すぎる企画であるという意味でも目立っていましたが、それ以上に意外性があったのは支援者への見返りでした。

いくつか、引用して紹介します。

Pledge $1 or more

With your help, we’ll be on our way to a successful potato salad. You will get a ‘thank you’ posted to our website and I will say your name out loud while making the potato salad.

1ドル支援した人は、Web サイト上で感謝の意を伝えられ、ポテトサラダを作っている最中に名前を叫んでもらえます。

Pledge $2 or more

Receive a photo of me making the potato salad, a ‘thank you’ posted to our website and I will say your name out loud while making the potato salad.

2ドル支援した人は、上記特典に加えて企画者 Zack さんの写真がもらえます。

その他、支援額が上がるにつれて見返りも増えていきます。ポテトサラダを作っているところを見に行くことができたり、ポテトサラダに関する俳句を送ってもらえたり、ポテトサラダに使うポテトに名前を彫ってもらえたりします。また、上位のプランではオリジナルのグッズも送ってもらえます。

成功の要因

このポテトサラダプロジェクトは、ソーシャルメディアを使ったマーケティングの成功事例です。

最初は、面白がった少数の人々が支援することから始まりました。その輪が徐々に広がっていき、このプロジェクトを支援すること、参加することが楽しいことになりました。ここまでの雰囲気作りが、非常にうまいプロジェクトでした。

楽しいことには、さらに人が集まります。特に、日々新しい情報を提供しているようは人々、ソーシャルメディアで影響力のある人々にとっては格好の話題となりました。ブログや SNS 上で、次々に「ポテトサラダ」「Kickstarter」というキーワードが投稿されていきました。

Kickstarter のファン、つまりクラウドファンディングのベテランたちにとっても、興味深いプロジェクトとなりました。新しもの好きな支援者達が、この祭りに参加しないわけがありません。

こうして、影響力をもった人々が次々に参加していきました。そして、マスメディアにも取り上げられ、有名なプロジェクトになっていきました。

ポテトサラダが提供したもの

ポテトサラダプロジェクトにおいては、ポテトサラダそのものは提供されませんでした。「ポテトサラダを作ります」という名目の企画です。

では、このプロジェクトは何を提供したのでしょうか。

このプロジェクトは、非常にユニークなアイデアを実行した事に価値があります。Kickstarter という場、クラウドファンディングという文脈において、新しいことをやり遂げました。そしてその事実が、クラウドファンディングに詳しい人々や、ソーシャルメディアで影響力を持つ人々が楽しめるネタとなりました。

つまり、そのネタこそが、このプロジェクトの最大の成果物だったと言えます。

クラウドファンディングの未来

クラウドファンディングをうまく利用できれば、多くの人々を支援者として集めることができます。その多くは、ソーシャルメディアを経由してやってきます。

クラウドファンディングを利用し成功するという事は、ソーシャルメディアで注目を集めるという事です。Kickstarter は、アイデアにより多くの注目が集まるような仕組みを提供してくれています。その仕組を最大限に利用しながら、世界に情報を発信できるのがクラウドファンディングの魅力です。

クラウドファンディングは、新しいことを始める時に有効な選択肢となるでしょう。実際、ポテトサラダ以外にも、注目を集めて成功したプロジェクトはたくさんあります。

単純に良い物を企画するだけでは、注目を集めることはできません。クラウドファンディングのエコシステムを理解し、人々を巻き込む必要があります。これから「スタートアップ」するには、その点に力を注ぐことが欠かせません。

多くのネタがソーシャルメディア上で飛び交う今日には、注目を集めるための戦略がより重要度を増していきます。

Hiro Shinohara

株式会社 messaliberty 代表取締役。起業家、プログラマー、オタク。ソフトウェア製品の開発や新規事業の立ちあげを得意分野としており、複数の事業を経営している。最近はハードウェア関連の事業と仮想通貨関連の事業に注力している。

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