日本の技術力や品質の高い商品・サービスは国外からの評価も高いですが、交渉力は世界で通用しないとしばしば言われます。では、日本人は海外(欧米)のビジネスパーソンに比べて交渉力がないのでしょうか?
要因は様々ですが、交渉力の差は文化の違いによって生じてしまうことが多いのです。
①行動パターンの違い
日本人と欧米人(フランス・米国・英国)の行動パターンを以下の二つの観点で比較すると、前者は後者の傾向に比べ集団主義を重要だと認識し、長期的な利益を意識しているようです。
(1)個人主義に重きを置く vs. 集団主義を重要と考える
(2)長期的な利益を考える vs. 短期的な利益を優先する
<行動パターンの特徴>
日本 |
欧米 |
勤勉さ(NO.1の数値) |
勤勉さ |
公平な |
進取的 |
協調的 |
闘争的 |
組織プレー |
個人プレー |
このような行動パターンに見られる、価値観や組織内での働き方の違いが、国際交渉での日本人の頼りなさを際立たせているのかもしれません。
②日本人の勝手な推定合意
日本人は交渉相手に気を遣って、相手は~を求めているだろうと推定して、両者にとって妥当な提案をしてしまいがちです。それをマナーだとか、フェアな交渉だと言って怖気づいては、個人プレーを尊重する闘争的な国際交渉の場で、勝つことはできないのです。
勝つためには、執拗に粘り強く、欲張りになることを恐れず、立ち向かわなければなりません。
「私は是非ともやりたいのですが、法的にダメで/予算の関係で/上司が・・・」などと自分の立場を相手に理解してもらおうと期待する行為も、勝利から遠ざかる要因なのです。
このような言い訳にも近い発言は、自らカモにして!と弱点を見せているのと同じだと言えます。
以心伝心、沈黙は金なり、謙虚、礼節などは相手に通じないのこと再認識しなければなりません。海外のビジネスパーソンにとって、日本人観は『意味不明』だと言われるのも無理はありません。
③マニュアルでしか動けない
飲食店のアルバイトから大手企業まで、日本人が従う「マニュアル」という概念は国際交渉の場でリスキーであると言えます。
一般的には、「リスクを冒すくらいならマニュアル通りに対応した方がいい」と考えられています。
しかし、実際の国際交渉の場では思いもよらぬ要求や変更は日常茶飯事であることを忘れてはなりません。
(定義は一様には言えませんが)交渉とは、「利害関係にある二つの団体、個人が双方の利益を最大限に、損失を最小限にするためのコミュニケーションプロセス」であり、交渉の目的を果たすためならば、相手はあらゆる手を使い、思いもよらぬアプローチをしてくることもあります。つまり、交渉はマニュアル通りに事が進むようなオペレーションではないのです。
マニュアルをリスクレスと考えていると、マニュアル外のことが起こった時に対応できなくなってしまうのです。
■最後に
交渉はスポーツと同じで、ルールを知っているだけでは勝てません。いかにそのルールの中で、相手が予期しないようなムーブがとれるかが鍵なのです。
国際交渉の場でも通用するビジネスパーソンになるためには、芸術家のように既存のルールを破って、新たなチャレンジに貪欲に、カリスマ性を発揮しなければならないのかもしれません。
<<参照>>
外国人にカモられない国際交渉力を身に付ける!http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/0812/22/news111.html
マニュアルとホスピタリティの誤解
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31742?page=4
日本人の交渉方法は世界で通用するか?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31288
「ケースで学ぶ異文化コミュニケーション」 久米昭元・長谷川典子
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